値上がりした日経平均株価を示すボード。世界の株式市場の中でも最近の東京市場は盛り上がっている
値上がりした日経平均株価を示すボード。世界の株式市場の中でも最近の東京市場は盛り上がっている
株価値上がりのカーブ(週刊朝日 2017年11月10日号より)
株価値上がりのカーブ(週刊朝日 2017年11月10日号より)

「この上げ相場はひょっとすると本物かもしれない」

【図】株価値上がりのカーブを表したグラフ

 こんな感覚が市場関係者の間で広まりつつある。

 10月27日の東京株式市場では、日経平均株価の終値が前日より268円67銭(1.24%)高い2万2008円45銭で取引を終えた。1996年7月以来約21年ぶりに2万2千円台を回復した。

 株価の代表的な指数である日経平均は、このところ上昇が続いている。10月24日まで、過去最長となる16営業日連続で値上がり。16日間の上昇幅は1448円(7.1%)に達した。それまでの連騰記録は、高度成長期の60年12月~61年1月の14連騰だった。値上がりのカーブは、下のグラフを見ても急なことがわかる。

 この株高を招いた要因は、衆院選の自民大勝などいくつかあり、市場を取り巻く環境は全体的に良くなっている。値上がり局面はしばらく続く可能性が高く、「上げ相場は本物」との見方を後押ししている。

 自民大勝で力を増した安倍政権は、公約だった「アベノミクスの加速」に取り組む。大幅な金融緩和や積極的な財政支出、規制緩和などによる成長戦略という「3本の矢」が続くことになる。中でも金融緩和は株式市場への影響が大きい。

 日本銀行は金融緩和の一環だとして、東証株価指数(TOPIX)などに連動する上場投資信託(ETF)を買っている。買い入れ枠は昨年7月の追加緩和で、それまでの2倍の6兆円に増額された。株価が下がったタイミングで、1日当たり700億円超のETFを買って、市場を下支えしている。

 日銀のETF買いによる株価押し上げ効果は絶大だ。

「市況が悪くなって売りが膨らむと、日銀が必ず買いを入れてくる。日経平均を2千~4千円は押し上げている。『官製相場』で公正な価格だとは言いがたいが、日銀が買い続ける限り、株価は大きく値崩れしない」(大手証券アナリスト)

 公的マネーは日銀以外にもある。公的年金の資産約150兆円を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は2014年に、国内株式の運用比率を12%から25%へ倍増させた。みんなの年金の保険料で、株を買い支えている状況だ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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