懐古的でないサイケデリック・カルチャーの申し子~GLIM SPANKY (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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懐古的でないサイケデリック・カルチャーの申し子~GLIM SPANKY

小倉エージの「知新音故」

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小倉エージ週刊朝日#小倉エージ#知新音故
25歳の松尾レミ(左)と26歳の亀本寛貴(右)

25歳の松尾レミ(左)と26歳の亀本寛貴(右)

GLIM SPANKY『BIZARRE CARNIVAL』

GLIM SPANKY『BIZARRE CARNIVAL』

 歌ったのは西岡恭蔵の「プカプカ」と、はっぴいえんどの「はいからはくち」。前者は、ザ・ディランIIの歌で世に出たヴァース付きヴァージョンで。松尾は「褒めろよ」や「怒りをくれよ」での怒りもあらわなふてぶてしさとは対照的に、「プカプカ」への愛着、親しみを物語るまっすぐな歌いぶり。亀本のブルージーなギターにも味わいがあった。

 そういえば『Next One』に収録された「NIGHT LAN DOT」について、松尾は「稲垣足穂とあがた森魚のコラボ曲」と語り、歌詞にはあがた作品に由来する言葉も登場する。そんなことを思い出しながら、60~70年代の洋楽だけでなく、日本のロックやフォークも、彼女の作品に反映されていることを改めて知った。

 さて、ニュー・アルバムの『BIZARRE CARNIVAL』。幕開けの「THE WALL」は、12弦のエレキやインド風の旋律を奏でるシンセサイザーがうねり、ベースが跳ねる。表題曲の「BIZARRE CARNIVAL」の演奏、サウンドはザ・ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』や『マジカル・ミステリー・ツアー』へのオマージュだ。摩訶不思議な見せ物小屋をイメージしたという歌詞と相まって幻想的なサイケデリック世界を展開する。

「The Trip」では、儀式的な太鼓が奏でられる中、「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」を思わせるメロディーが耳をかすめ、12弦のエレキによるザ・バーズのラガ・ロック的なサウンドが混在する。この曲も60年代のサイケデリック・ロックが下敷きだ。

 歌詞も興味深い。“瞼の裏に黄金のハートが浮かぶ”に続けて“それの横でニールが歌ってくれる”とあるが、“黄金のハート”とは、すなわちニール・ヤングの名曲「ハート・オブ・ゴールド」。“頭の上に 鮮やかなボートが浮かぶ それの中でルーシー 笑って消える”とくれば、これはもう、ビートルズの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」そのもので、思わずニヤリとなる。


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