3.「豆腐屋、パン屋、肉屋がある」


 おばんざいに豆腐類は必須です。また京都人はパン、牛肉好きで、消費量はいずれも日本一だそうです。

4.「銭湯がある」
 昔は内風呂のない町家が多く、銭湯に通うのが当たり前でした。今でも約140軒ほどの銭湯が営業中で、京都人に交じって、湯船でくつろいでみてはいかがでしょうか。

■上級編は鴨川沿いの名所旧跡ハイキング
 周囲を東山、北山、西山に囲まれた盆地で中心部を鴨川が流れる、というのが京都の地形の特色です。そこで、京都へ行く目的を観光からハイキングへと“外し”てみてはいかがでしょうか?

 泉涌寺から昔の埋葬地だった鳥戸野陵、小野小町の墓を通り、京女鳥部(きょうじょとりべ)の森を抜け、秀吉公のお墓のある豊国廟への尾根道を歩いたとき、山伝いに歩けば、歴史的なスポットや有名寺社が点でなく線でつながっていく面白さに気付きました。

 山のハイキングは自然を楽しむだけですが、多数の名所・旧跡がセットになったハイキングは京都でしか体験できず、古き世に生きた人々と同じ目線で、京都の町を俯瞰(ふかん)できる錯覚に陥るのです。

 お勧めのハイキングコースを二つ挙げます。一つ目は人気の観光スポットをつなぐ大文字コースです。順路は銀閣寺→行者の森→大文字の火床(ここで京都を俯瞰)→大文字山頂→法然院→哲学の道(ここでクールダウン)で、所要時間は約3時間(いたるところにトレイルコースの目印あり)。もう一つ洛外から洛中をつなぐ山科疏水・南禅寺コースです。こちらの順路は御陵駅(地下鉄東西線)→山科疏水→山道に入る(ここも目印が多数)→南禅寺→琵琶湖疏水という疎水をつなぐルートで、約2.5時間くらいでしょうか。

 このように全長80キロの東山・北山・西山のコースを好みや体力、持ち時間に合わせて自分仕様の深掘りコースに変えて楽しむことができます。ハイキングコースの詳細は、京都府山岳連盟のサイト「京都一周トレイル」や同連盟が監修した書籍『京の絶景と名所旧跡めぐり』をご参考に。

 京都の山は、標識がいたるところにあり、どの道も寺社や人家につながっているので、道に迷って遭難するということはまずありません。また、鴨川沿いをウォーキング、ランニングしながら、京都を線でつないでいく、という手もあります。あの村上春樹さんも、ボストンやホノルルの名コースと並んで鴨川を好んでおられるようです。私も鴨川ランニングをしますが、南座の顔見世のころは毎朝、市川海老蔵さんとすれ違いました。鴨川沿いに上流から、三つのランニングコース、上賀茂コース(約9.2キロ)、高野コース(約4.3キロ)、丸太町コース(約2.5キロ)がありますが、自分なりのペースで自由に走る・歩くコース設定ができます。

 鴨川の流れとともに、ウォーク&ランすれば、京都の中心部に連なる見どころのすべてを、何者にも阻まれず、捉えることができます。とりわけ、二条大橋から北へ向かっていけば、まるでリアルな絵巻を見るかのようです。ぜひ、挑戦してみてください。

週刊朝日 017年10月27日号