さるなし人気の背景にあるのが、栄養価の高いスーパーフードのブーム。果物離れが指摘される昨今だが、生活者は健康や美容に良くておいしい食べ物に敏感に反応するようだ。

 岡山大大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)の有元佐賀惠准教授は、さるなしの健康効果を10年以上研究している。有元准教授によると、さるなし100グラムに含まれるビタミンCは140ミリグラム。キウイ(55ミリグラム)の倍以上だ。

 こんな研究成果もある。マウスに発がん性のあるたばこの成分を注入し、水道水を与え続けるマウスと、さるなし果汁を与え続けるマウスとに分けて比較。すると、さるなし果汁を与えたマウスにがん抑制の効果がみられた。有元准教授は「肺がん、大腸がん、皮膚がんなどの予防が期待できます」という。

 玉川村で生産が始まったのは約30年前。地元では、イメージキャラクター「さるなっき~」をつくってPRする。今年7月には村内で、全国の生産者が集う「第1回全国さるなしサミット」を開催。地元をはじめ、岩手、山形、新潟、長野、岡山の生産者が一堂に会し、交流を図ったり、消費者にアピールしたりした。

 アンチエイジング食品として注目される果物、さるなし。「不老不死の果実」と呼ぶ人さえいる。

 さくらんぼほどの小さな実でパクパク食べられるが、「食べすぎると、お通じがよくなりすぎることもある。1日三つまでがおすすめ」と地元の人。

 今回、幸運にもとれたての生のさるなしを食べる機会があった。口に運んだ記者の一言もやはり、「なにこれ~!」。読者のみなさんもぜひお試しを。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日 2017年10月20日号