仕事中にも! 恐ろしすぎる「レイプ・ドラッグ」の罠 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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仕事中にも! 恐ろしすぎる「レイプ・ドラッグ」の罠

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永井貴子週刊朝日

酒席だけではない「レイプ・ドラッグ」の罠(※写真はイメージ)

酒席だけではない「レイプ・ドラッグ」の罠(※写真はイメージ)

 解放されたのは夜9時前。部屋を出る間際、「証拠になる」と美樹さんはアメニティーグッズをつかんだ。この機転が、のちにホテルの特定につながった。

 体を引きずるようにして駅にたどり着いた。上司や同僚らが駆けつけてくれ、警察署に向かい、被害を訴えた。「部下は睡眠薬を飲まされた」と上司が主張したことも幸いしたのか、警察で尿の薬物反応を調べてもらうことができた。結果は想像を超えていた。2種類の睡眠薬のほかに、覚醒剤反応が出たのだ。

 逮捕後、小林被告は「会社に来るのが女性だと知り、睡眠薬を試そうと思った」「覚醒剤はホテルでの性行為中に陰部に塗った」と睡眠薬と覚醒剤の使用を認めたという。おまけに、自宅からは「睡眠薬を飲ませて暴行する」内容のアダルトDVDや、小林被告がデリヘルに勤める女性に睡眠薬を使用したことが記録された携帯電話も押収された。

 事件は、逮捕まで1年、判決まで2年の歳月を要した。「準強姦罪」は、立証が難しく捜査が進みづらい。必然的に、逮捕や起訴に消極的に傾きがちだという。

 そもそも準強姦とは、「人の心神喪失もしくは抵抗困難な状態に乗じ、またはそのような状態に陥らせて姦淫する」犯罪である。

「つまり、心神喪失状態にある被害者は、明確な証言ができない。逆に、記憶が鮮明だと、警察や検察から『意識がはっきりしているならば断れるだろう』と言われてしまう。矛盾ですよね」(村田弁護士)

 小林被告は薬の使用は認めたが、「(美樹さんが)『小林さん、すてきですね』と話した」と主張し、薬の影響はなかったと、準強姦を否認。控訴した。

 日本ではレイプ・ドラッグを使った犯罪の認知度は低く、資料やデータはほぼない。数少ない研究者のひとりが、法医学者で旭川医科大学の清水惠子教授だ。

「泥酔させて強姦というのは、誰もが想像できる話です。その場合、かなりの酒量が必要ですが、睡眠薬をアルコール飲料に混入した場合、コップ1杯程度で記憶や意識がなくなります」

 清水教授によれば、日本では、主に睡眠導入剤や短時間型の睡眠薬が犯罪に用いられる。体内から早く排泄(はいせつ)され証拠が残りにくいからだ。美樹さんの事件では、即効性のあるタイプとゆっくり長く効果が持続する薬が絶妙な配分で調合されていたという。


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