「後から病院に行ったら、肋骨が1本折れ、2本にひびが入っていました。わかっていたら中止していましたよ(笑)。でも、ゴールまであと1週間でしたし、仲間も待っていたので、意地で続けました」(同)

 竹馬行脚の移動は基本的には一人だ。ワンボックスカーなどで寝泊まりし、風呂は銭湯や温泉を活用。宿に泊まったことは数回ほどだ。食事はコンビニで買うことも多いが、野菜や魚の総菜を選ぶ。朝の目覚めは、親族が作った梅干し1個を日本茶に入れて飲む。一日の疲れを癒やすのは、蜂蜜をたっぷり入れたコーヒーと、寝る前にたしなむ1杯のお酒だ。

 もともと体育教師で器械体操をやっていたため、60代まで逆立ちもできたというしなやかな身体の持ち主。竹馬行脚に挑戦する前は、起床後20~30分間体を動かし、日中は畑仕事。夕方は5~6キロのウォーキングが日課だった。

「不思議とね、竹馬に乗っているときは元気。自宅に帰ると気が緩むのか、風邪をひいたりするんですよ」(妻の久子さん)

 8月で81歳になった飯塚さんの座右の銘は、“生活、即、体育”。教え子たちにも日々、そう指導してきた。

「日々の生活そのものが体を育てる。車を使わず歩くとか、重い荷物をあえて持つとか、体力向上のためになるならば、何をするにも横着しない」(飯塚さん)

 それが、元気でいる秘訣なのだ。

週刊朝日 2017年9月22日号