座右の銘は「生活、即、体育」!(撮影/小暮誠)
座右の銘は「生活、即、体育」!(撮影/小暮誠)

 手作りの竹馬に乗って5千キロ以上を踏破。今年6月、その偉業を成し遂げたのが、千葉県四街道市の飯塚進さん(81)だ。

 幼いころにはよく竹馬で遊んだ。中学校の校長をしていた50代半ばのときに竹馬の講習会に携わり、このとき「今の子どもに教えることが、自分の生き方」と考えたという。竹馬で国内を巡る“竹馬行脚”をしようと思い立ったのは、69歳のとき。

「竹馬の良さを伝えたい。そんな気持ちがありました。それと、“古希への挑戦”ですね。70歳というと、ジジ臭いでしょ(笑)。年寄りというイメージを吹っ飛ばそうと思ったんです」(飯塚さん)

 2006年、まずは房総半島一周に挑戦。「1日4~5時間かけて、十数キロ歩く」という行程で、約500キロを1年かけて踏破した。

「始めたのが1月の末で、霜は降りるし、雪はちらちら舞うし。そんなときでも、10分乗っていると汗ばんできて、30分もすると汗だくになるんです」(同)

 その後、京都から東京まで歩く「東海道五十三次(約500キロ)」、俳人松尾芭蕉ゆかりの地を歩く「奥の細道(約2400キロ)」、「四国八十八カ所巡礼(約1400キロ)」などを踏破。しめくくりとして選んだのが、東北地方を縦断する「みちのくの旅(約500キロ)」だった。福島県いわき市から青森市まで、約2カ月かけて竹馬で歩いた。

「69歳で始めたときは古希への挑戦という意味がありましたので、最後の行脚は傘寿への挑戦にしたかった。80歳で達成できました」(同)

 竹馬は遊び道具といえども、乗りこなすには体力や筋力、バランス力や集中力がいる。気を緩めれば、側溝のふたの穴やマンホール、段差につまずいてしまいかねない。“超人”レベルの飯塚さんでも、一度だけ過って道の“ヘドロ”に竹馬の脚を滑らせて転び、肋骨を折ったことがある。そのときは痛み止めでごまかしつつ、ゴールを目指した。

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