そして精神科医の片田珠美さんは“チョロッとイケメン”台頭の背景には、女性の「4低」志向があると分析する。

「低姿勢・低リスク・低依存・低燃費。今の時代の女性が結婚相手に望むのは、この4項目です」

 女性を見下さず、いばらない「低姿勢」、高収入より安定した収入で、かつ浮気の心配もない「低リスク」、家事、育児もこなし、自分のことは自分でできる「低依存」、お金がかからない&お金を使わない「低燃費」である。

「チョロッとイケメンの人たちは、この『4低』すべてがそろっているような匂いがするのでしょう。いくら格好よくても、結婚してから不倫騒動を起こされ自分自身が恥をかかされてはたまりません。そして女性が結婚しても出産しても働き続けるには、夫がそれを容認し、女性に協力的であることが大事です。『結婚したら女は家に入れ』『俺は家事なんかしない』なんて居丈高な男性は論外なんですよ」(片田さん)

「家庭科」は1993年度から中学で、94年度から高校で、男子も必修科目になった。今や男性もひととおりの家事はできて当たり前。加えて家計の管理(節約・貯金)も、できて当たり前なのだ。

「バブルの時期は『高収入』『高身長』『高学歴』がそろった『3高』の男性がモテはやされましたが、今は相手に高望みをせず、女性自身が“共に堅実な人生を歩んでいけそうな相手”を選ぶ時代なのです」

 そして片田さんは、SNSの発達もチョロッとイケメン人気の理由のひとつではと推測する。

「インスタグラム、フェイスブック、ツイッター等、SNSの発達によって、有名人との距離感がグッと縮まりました。普通の人が著名人のアカウントをフォローし、コメントが書き込める。すると、まるで友人になったような気になり、親しみが一気に増します。そして、もしかしたら自分も恋愛の対象にしてもらえるかも……という疑似恋愛の感情も生まれるわけです。そうなってくると、いわゆる“雲の上の王子様”的な大スターよりも、自分と同じ次元で生きていそうな、“普通っぽい”人がウケるのです」

 そしてSNSの向こう側の“普通っぽい”“近所にいそうな”“やさしそうな”疑似カレシは絶対に自分を拒まない。自分を傷つけてくることもない。だからますます評価が高くなる。さらに山田さんが指摘する。

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