私も現役時代に審判員の「ブラックリスト」に載っていた。私の場合は、一塁への牽制(けんせい)だ。「左肩が1度捕手方向に入る」、つまりボークだというのだ。だが、私は反論し、春季キャンプでも、一塁塁審だけでなく、真正面から見ている球審にも確認してもらいOKをもらった。だからシーズンで問題はなかった。もしシーズン中に指摘を受けていたら、修正への時間がかかっていただろう。

 選手は違反をしてはいけないし、最終的には審判の判断は絶対だ。ただ、なぜそういう判断をしたか、審判員は「審判の判断による」という回答ではいけないと思う。審判は限りなく基準を統一する努力を担っているはずだ。

 何はともあれ、雄星の1勝は9月の戦い、そしてクライマックスシリーズ、日本シリーズといった10月の戦いにも、光となったといえるだろう。ソフトバンクの2年ぶりのリーグ優勝は揺るがない位置まで来ているが、いざ短期決戦となれば何が起きるかわからない。雄星自身も今季の残り試合は全勝する覚悟で臨んでもらいたい。

週刊朝日  2017年9月15日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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