広陵の捕手・中村奨成 (c)朝日新聞社
広陵の捕手・中村奨成 (c)朝日新聞社

 広陵・中村奨成はプロでどれくらい活躍できるのか。甲子園が終わり、野球ファンたちの注目は、プロで通用するかどうかに移っている。夏の全国高校野球大会で、大会新記録の6本塁打など数々の記録を更新した。甲子園本大会に出なかった早稲田実業・清宮幸太郎を超えて、一気にスターダムへと上り詰めた。しかし、甲子園での活躍とプロ野球での活躍はまた別の話だ。

 その試金石となるのが、9月1日にカナダで開幕する野球の第28回U-18(18歳以下)ワールドカップ(日本時間の11日まで)。予選グループでは、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカといった強豪国らを相手に、清宮や安田(履正社)などプロ注目の選手たちと共に戦う。

 中村の魅力の一つは、やはり打撃だろう。「高校野球ドットコム」の河嶋宗一副編集長は、中村の大会での活躍をこう振り返った。

「元々注目選手の一人ではあったのですが、広島県大会では死球の影響もあったのか、打率が1割台にとどまりました。しかし、甲子園本大会に入り、打撃が復調、特に3回戦の聖光学院(福島)での本塁打で周囲の記者たちの雰囲気も変わりました」

 打撃はもちろん、中村の魅力は捕手としての能力の高さにもある。肩の強さや守備範囲の広さも超一級品。甲子園でも守りの要としてピンチを救った。

 一方、捕手としてのリードはどうなのだろう。河島副編集長は、捕手としての真の力、リードに注目している。

「広陵の投手力が決して強いわけではなかったからもしれないが、これだと思ったら同じコースや球種を続ける傾向があった。これでしか勝負できないという面もあったと思います。大会を通じて、(中村の)リードは頑固で慎重だと感じました。そこで、今回のU-18ワールドカップで、代表に選ばれたレベルの高い投手たちを相手にどんなリードをするのか注目しています」

 また、河島副編集長は、中村の捕手としての気質についても注目している。

「配球について考えてはやってはいると思うが、限られた引き出しの中で必死にやっているように見えました。中村選手の捕手としてのリードを見てるとかなり気が強い。真面目な選手ではありますが、恋女房というよりは投手気質の捕手、オラオラ系だなという印象を受けました」

 今秋のドラフト1位候補に躍り出た中村。その前にU-18ワールドカップで、打撃でなく、頑固で“オラオラ”なリードにも注目してみるのも面白いかもしれない。(本誌・大塚淳史)

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