夫:それでも、誘っては断られ。

妻:しつこかったよねー(笑)。

夫:巳年生まれですから。

妻:いまだに笑い話になってるぐらい。で、あるとき彼、給与明細持ってきたんですよ!

夫:おかげさまで食えるようになりました。だからもう一度、やってみない?ってね。

妻:私は戻る気なんて全然なくて。あら、良かったわね、今度おごってねー、ぐらいの感じで。でも、粘り強くアピールしてくる。

夫:しつこいですから。

妻:軽~い感じで「ダメですかねー?」。

夫:同じ調子で「ダメでしょうねぇ~」って。その繰り返し。

――「ワシが電話する!」夫の家族からも愛された妻

夫:10年も一緒に暮らしてたから、お互いの親にも紹介済みでした。で、彼女と別れたって親に伝えたら、おやじ、おふくろ、姉貴までがそろって「お前が悪いに決まってる!」。

妻:あははは!

夫:おふくろは「優子さんじゃなきゃだめだ!」って言うし。おやじに至っちゃ「ワシが電話する!」って聞かない。おやじが電話してどうすんねん、もうええから!って大騒ぎ。

妻:でも、すごくうれしかったですね。そうやって家族も待ってくれていて、彼も給与明細を見せてまで考えてくれて。だったらやり直してみようかな、と。

夫:ありがとうございます。

妻:それにね、彼、子ども嫌いだったんです。私はずっと子どもが欲しかった。別れたのは、その食い違いも大きかった。でも、結婚するときは、子どもも、って言ってくれて。

夫:何かの本の受け売りかもしれないんだけど、この世に自分そっくりの人間が出てくるっていうのが嫌だ、と思ってたんですよね。

妻:それが今や、笑っちゃうほどの父親っぷりだもんね。わからないものね。

夫:この春、息子は小学生になったんですけど、同級生の親たちと私たちとでは、ひと世代もふた世代も違うんですよね。

妻:子ども同士遊んでるのを見ても違いますもん。

夫:仮面ライダーごっこをしてても、息子の知ってる仮面ライダーは1号2号、V3ぐらいまで。

妻:少し前までは「将来はガメラになりたい」とか「ジャイアントロボになる!」なんて言ってたね。

夫:僕が古いアニメとか特撮が好きなんです。そんなのばっかり見せてたから。

妻:みんな平成のライダーなのに、息子は、プラスチックの刀抜いて「仮面の忍者、赤影!」だもの(笑)。

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