――パパは息子のヒーロー!の、はずなのに…?
夫:少しずつ、親の仕事も理解し始めてるみたいで。
妻:面白いよねー。
夫:昔、戦隊もので悪役をやったことがあるんです。そのDVDを見せたら、自分にとっては正義の味方だと思っていたお父さんが、ヒーローをいじめてるってショック受けちゃって。
妻:そう! 混乱してた!
夫:口から火なんか噴いちゃってるもんですからびっくりして。慌ててテレビを消しましたよ。そうかー、まだ早かったか!って。
妻:今も、彼が音声の入っていない画像を見ながら、セリフを合わせる練習なんかしてると、不思議そうな顔で画面と彼と、見比べてますもん。
夫:声が低いせいか、悪役が多いんですよ。で、息子に言ってます。「お父さんはお仕事で悪いことしてるの! いい人のときもあるんだよ」
妻:なんじゃそりゃ(笑)。
夫:ママ友の間でも、気を使ってくれる人がいたり。
妻:そうそう。息子が幼稚園のころは、まわりが私の仕事には触れないようにしてくれたり。でも、若いママたちは私のこと知らないから「昔アイドルだったのよ」って言うと、「えええーっ?」って。
夫:ははは。サスペンスドラマに出たときなんて、困るよね。お母さんが殺されちゃったりするから。
妻:少し前に「相棒」に出たときは、放送の翌日、ママ友達から「猿ぐつわ、されてたねー」って。なんて会話でしょって、大笑い。
夫:まあ、倅(せがれ)がこれからどんなふうに育っていくか、楽しみですよ。
妻:子どもが小さいうちは泊まりがけの仕事に出られないので、今は子育て優先。でもいずれまた、ドラマや映画、舞台もやりたいです。
夫:2年以上彼女と離れていたのは、よかったのかなとも思いますね。役者としてどうあるべきか考える機会にもなったし、「ちゃんとした」大人になれたというか。運もよかったと思います。
妻:彼の魅力に気付いて、それを引き出してくれる方に出会えたこと、いろんな人とつながって、お仕事が広がったことは本当にありがたいですね。彼も、前にもまして優しくなりましたし。こんなにいい父親になるとは思ってなかった。
夫:あいつ今、空手の館長が夢らしいよ。
妻:やっと憧れの対象が人間になった!(笑)
※週刊朝日 2017年9月1日号より抜粋