ポール・サイモンの「リズム」探究の足跡 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ポール・サイモンの「リズム」探究の足跡

連載「知新音故」

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ポール・サイモン(『ザ・コンサート・イン・ハイド・パーク』ブックレットより)

ポール・サイモン(『ザ・コンサート・イン・ハイド・パーク』ブックレットより)

ポール・サイモン『ザ・コンサート・イン・ハイド・パーク』

ポール・サイモン『ザ・コンサート・イン・ハイド・パーク』

 ポール・サイモンのニュー・アルバム『ザ・コンサート・イン・ハイド・パーク』はライヴ盤だ。興味津々でCDに耳を傾けたところ、ポールの歌いぶりがなんだか変! 歌い流すような感じで、声量もいま一つ。「年のせいか」といぶかったが、いつの間にか歌声は本調子に。バンドのアンサンブルの妙にも惹かれ、ぐいぐい引き込まれ、2枚組を最後まで一気!

 2012年、ロンドンのハイド・パークで開催された「ハード・ロック・コーリング・フェスティヴァル」の最終日、7月15日に出演した際に収録されたものだ。公演は、1987年にグラミー賞最優秀賞アルバム賞を受賞した『グレイスランド』の発表25周年に関連した「グレイスランド2012」ツアーの一環だった。その前年に収録され、12年に発表された『ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ』を私は聞きそびれていたので、ポール・サイモン・バンドへの認識もなく、完成度の高さに驚きもひとしお。同時収録のDVDを見て、ますます驚いた。

 バンドのメンバーはポールを含めて総勢9人。ベースは独創的なスタイルで、バネの利いたうねる演奏を特徴とする南アフリカ出身のバキティ・クマロ。ドラムスはナッシュヴィル在住でギターも手がけるジム・オブロン。ギターのマーク・スチュワートがサックスを、ハーモニカ、トランペットのトニー・セドラスがアコーディオンを手がけるなどマルチ・プレイヤーが揃う。曲によって担当楽器が変わることもしばしばだ。

「ダズリング・ブルー」ではパンチ・ブラザーズのゲイブ・ウィッチャーがゲスト参加してフィドルを演奏。ポール、マイク、カメルーン出身のギタリストのヴィンセント・ングイニ、ジム・オブロンが、スライド・ギターで絶妙のアンサンブルを披露する。

 編曲などの工夫も目を引く。「恋人と別れる50の方法」では有名なドラムスのイントロも含め、オリジナルから様変わり。ジャージーな趣から、3人のブラス、ミック・ロッシのオルガンでR&Bテイストなものにもなる。ポールの歌いぶりも実に軽妙だ。ギターのヴィンセントの繊細な演奏も注目される。

「ハーツ・アンド・ボーンズ」では、ギター・プレイヤーとしても評価の高いポール・サイモンが鮮やかなピッキングを見せつける。

 レゲエ・シンガーのジミー・クリフもゲストとして登場。CDではポールとデュエットした「ヴェトナム」「母と子の絆」のみの収録だが、DVDでは圧制者への強烈なメッセージ・ソング「ハーダー・ゼイ・カム」と、苦難の人生に立ち向かう誇りを高らかに歌う「遥かなる河」も収録。その熱唱にうたれる。


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