「麻央さんが息を引き取る間際、『愛してる』と言ったのは、彼女が人を思う人だったから。そういう彼女に突き動かされ、ダメな部分に気がついたんでしょう」

 海老蔵のマスコミ対応も変わっていった。

結婚前は対応が乱暴で、態度が悪かった。アナウンサーの麻央さんは、メディアへの接し方を指導してたんだと思います。人との接し方やつきあい方を彼女から学んだという気がしますよね」(佐々木氏)

 1983年の「源氏物語」で海老蔵が初舞台を踏んだ時から見守ってきた歌舞伎関係者も変化を感じ取る。

「麻央さんと一緒になって、顔も優しくなったし演技にも深みが出たし、麻央さんが病気になってからは、そこに強さが加わった。それまではちょっと、甘ちゃんというか、やんちゃな坊ちゃんらしさが抜けなかったけど。ただ最近は疲れも見えて、舞台化粧をとったあいさつの時は、目元のクマが濃くなっている。それで必死に自分を奮い立たせて、心配させまいとする様子が伝わる」

 海老蔵は会見で、麻央さんは相手を心配する優しさがある人だ、と言った。調子を崩し、一時活動を休止していた姉の麻耶さんが仕事を再開したのも、そうした思いやりが影響する。

 麻央さんが学生時代に出演していた人気番組「恋のから騒ぎ」の作家だったという縁で、親交が続いていた放送作家の山田美保子さんは語る。

「麻耶さんが『引退して看病に専念しようか』って麻央さんに言ったら、『それはやめて。テレビに出てるのを見るのが楽しみだから』と答えたそうです。復帰後の麻耶さんのがんばりは姉妹の絆だと思います」

(本誌・大崎百紀、上田耕司、松岡かすみ、吉崎洋夫)

週刊朝日  2017年7月7日号