医学部受験は私立高校が強い(週刊朝日 2017年6月16日号より)
医学部受験は私立高校が強い(週刊朝日 2017年6月16日号より)

 2017年度の医学部医学科の定員は、国際医療福祉大の医学部新設などで前年比158人増の9420人。10年連続で増えた。

 駿台予備学校によると、志願者数は国公立大が前後期ともに微減で、私大は3%増。ただ、私大は新設分を除くと2%減で、定員増で高まってきた医学部人気は、近年一段落している。

 合格者数ランキングをみると、私立高校が圧倒的に強い。

 上位100校の内訳は、私立68、公立27、国立5。私立68校の卒業生数は約1万9700人と全体の66%だが、国公立大医学部の合格者数でみると69%(約2千人)に達し、私立大だと82%(約3200人)を占める。

 私大医学部の6年間の学費は2千万~4千万円。文部科学省「子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まですべて私立に通った場合の15年間の学費は約1800万円、小学校のみ公立の場合でも約1千万円かかる。私大医学部は、入学前も入学後も経済的負担がいかに大きいかがわかる。

 合格者数1位の東海、10位の南山、13位の滝、32位の旭丘と上位に愛知県の高校が目立つ。愛知は地元大学への進学率が全国で最も高い県で、医学部でもその傾向は顕著。4校だけで名古屋大に50人が合格し、定員のほぼ半数になる。

 九州大も久留米大附設(福岡)とラ・サール(鹿児島)の2校で37人が合格し、定員の3割に達する。地元で働ける医師は地方の学生には魅力的な仕事だ。

 公立のトップは22位の本(熊本)。32位の旭丘、34位の仙台第二(宮城)など上位は地方の高校が多い。

 公立と私立を比べ、大きく違うのが現役合格率。熊本は現役が25人と卒業生数の約6%。上位100校のうちの公立高校はすべて10%未満だ。一方で、私立は桜蔭(東京)が39%、聖光学院(神奈川)が35%とずば抜けて高い学校がある。

 医学部は学力的にも経済的にもいかに狭き門で、限られた層の生徒が入学しているかがわかる。

週刊朝日 2017年6月16日号