わが子を守る手立てはないのか(※写真はイメージ)
わが子を守る手立てはないのか(※写真はイメージ)

 保育士の人材不足、高まる保護者の要求、運営者の利益至上主義など、問題は複雑に絡み合う“ブラック保育園”。わが子を守る手立てはないのか。

保育園の質を保つために実施されるのが、行政による監査。保育士の配置人数や衛生、安全面などを丸1日かけてチェックする。ただ、人員が十分でなく、手が回らないのが実情だ。

 東京都の場合、18人の職員が約4千施設を担当する。昨年度に実施されたのは566施設で、全体の約15%。施設側が必要書類をそろえられるよう、実施の約1カ月前には通告される。このため、「実態はザルに近いのでは」(角川キッズラボ代表取締役の角川慶子さん)と疑問の声もある。姫路市の認定こども園「わんずまざー保育園」のずさんな運営は、抜き打ちの監査で発覚していた。

 子を預ける親の側ができることは何か。「保育園を考える親の会」の資料などをもとに、保育園選びのチェックリストをまとめた(下)。わが子を守るため、ブラックな保育環境でないかを見極める参考にしてほしい。

 百聞は一見にしかず。園がHPなどでうたう内容をうのみにせず、見学して園の様子をきちんと見ることが欠かせない。「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんは「入園後も保育室に入ってお迎えしたほうがいいと思います。乳幼児は話して訴えることができませんから」と話す。

 保育は、外からの目が行き届かない密室空間に陥りやすい。質が落ちても、気づきにくい場合が多い。

 東京都内在住の女性は、近くのビル2階に入る認可外保育園の見学時、びっくりした。出迎えた20代の男性園長は入り口で「何か質問はありますか」と面倒臭そうに切り出すと、押し黙るのみ。保育士は園児と触れ合わず、アニメのDVDに子守をさせている。子どもがこの環境で育つかと思うと、寒々しかった。

 前出の角川さんも言う。

「うちの子を通わせていたある『高級保育園』は、年2回の健康診断が行われていませんでした。実施義務があるなんて親は知りませんから、気づかれない」

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