高村正彦副総裁(中央右)と二階幹事長(左) (c)朝日新聞社
高村正彦副総裁(中央右)と二階幹事長(左) (c)朝日新聞社

 憲法記念日に安倍晋三首相がぶち上げた「2020年憲法改正」発言に対し、自民党内から反発が噴出している。二階俊博幹事長、高村正彦副総裁らは寝耳に水で“お友達”らと決めたというのだ。

「自民党結党以来の悲願だ」と安倍首相の鼻息は荒いが、5月3日の発言は来年の総裁選で3選を目指す首相にとって、踏んではならない地雷になったようだ。

「政権が4年経過したのに憲法改正機運が盛り上がらない。いつまでも待ってはいられない。直球勝負でいきたいが、国民投票でしくじったら総辞職ですよ。十分、自覚してます。だから、9条3項に手をつけたい」

 今年1月、都内で首相は信頼する“お友達”の政策ブレーンにこう胸中を吐露したという。

「首相は昨夏の参院選で衆参3分の2を得た後、極秘裏に憲法改正のシナリオを練ってきた。メンバーは菅義偉官房長官、世耕弘成経産相、今井尚哉筆頭秘書官ら5人程度。『戦力不保持』を定めた憲法9条2項に手を付けると、野党などの反発で国会審議は飛び、次期総選挙に負けるという危機感があった。公明ものめる3項追加は首相肝いりの仕掛けです。簡単に言うと、自衛隊の存在を小学生でもわかる憲法にしたいということです」(政府関係者)

 しかし、野党は猛反発。身内の自民党内からも異論が続出している。

 自民党関係者の証言。

「事前に説明がなかったことに加え、2012年の改憲草案を議論する会合に首相自身、ほとんど顔を見せなかったのに、唐突に9条改正を持ち出したことに二階幹事長、高村副総裁、麻生太郎財務相らも憮然とし、怒っているらしい」

 首相が改憲の考えについて国会で「(自身のインタビューが掲載された)読売新聞を熟読してもらえばいい」と答弁したことで、ただでさえ進まない憲法審査会開催が延期になる始末だ。側近の萩生田光一官房副長官が謝罪に追い込まれ、ある自民党議員からは「失言で短命に終わった森喜朗元首相と軽率発言を連発する安倍首相がかぶってしまう」と揶揄(やゆ)する声も漏れてくる。

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