小池百合子都知事 (c)朝日新聞社
小池百合子都知事 (c)朝日新聞社

 東京・赤坂の日本料理屋の一室で4月18日夜、“呉越同舟”の会合があった。会食したのは、小泉純一郎元首相、山崎拓・元自民党副総裁、武部勤・元自民党幹事長、そして小池百合子東京都知事。小泉内閣の同窓会といった顔ぶれだったが、そこには、小池氏と対立する自民党の二階俊博幹事長も同席。さらに同じ夜、安倍首相も企業経営者らとの会食のため、この店を訪れていたのだ。

 1階には小池氏と小泉氏ら、2階には安倍氏らがおり、互いに言葉を交わす場面まであったという。

 7月2日投開票の都議選まであと2カ月余り。小池氏率いる「都民ファーストの会」は都議会公明党とタッグを組み、自民党に襲いかかろうとしている。そんな絶妙なタイミングで、あまりに“キナ臭い”面々がこの夜、一堂に会したことになる。いったいどんな会話が交わされたのか。事情を知る関係者がこう語る。

「元々は小泉氏、山崎氏、武部氏、二階氏の4人で会う予定だったが、武部氏が小池氏に声をかけた。まあ、武部さんの息子さんの新衆院議員は二階派ですしね。小池氏は最後まで約4時間、ずっと店にいました。いろいろと盛り上がりましたが、途中で都議選の話になり、山崎氏が『ケンカしないで握手』と小池氏と二階氏をうながすと、二人は握手ではなく『指切りゲンマン』をしていました」

 果たして何についての“指切り”だったのか。小池氏は21日の会見で二階氏とのやり取りをこう語った。

「都議選が終わってからの協力体制をどうするか、そんな話もいただいたところです。五輪やさまざまな都政の課題は国と連携していかなければならないことが多数ありますので、その点では大変心強い連携を確認できたと思っております」

 早くも、都議選の“戦後処理”が話し合われたのだろうか。また、安倍氏との間ではこんなやり取りがあったと、前出の関係者が明かす。

「お開きのちょっと前に、2階にいた安倍首相が、同席していたニトリホールディングスの似鳥昭雄会長を連れて小泉氏に挨拶するため下りてきた。小泉氏が『おう、おう、みんないるんだから握手しようよ』とうながして、安倍首相は全員と握手していました」

 安倍氏は小池氏に「お手柔らかにお願いします」と、和やかな表情で話しかけたという。

 ちなみに、小池氏も前出の関係者も安倍氏が同席したのは偶然だったと説明するが、くだんの店は、小泉氏行きつけの店として有名で、朝日新聞の「首相動静」で確認すると、安倍氏は過去に一度しか訪れていなかった。偶然にしてはあまりに出来すぎのような……。政治家たちの“飲みニケーション”は、誠に複雑怪奇だ。(本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2017年5月5-12日号