「面接にも子どもを連れてきていいと言われた。子育て世帯の支援サービスを提供しているので、子育て中の人を大切にする風土がある。子どもの行事などで早引きすることにも寛容だ。夫から『楽しそうに仕事をしている』と言われ、子どもも転職を喜んでいる」

 ワーク・ライフ・バランス(WLB)を重視するのは女性だけではない。

 中古マンションを扱う日本財託(東京)の男性課長(45)は、昨年5月まで準大手の不動産会社に勤めていた。土日は営業で忙しく、帰宅が午後10時になることも珍しくなかったという。

「妻や幼稚園に入った娘とふれあえる時間をできるだけ取りたかったことも、転職を決めた理由の一つ。今は残業はほぼなくなり、週末は家族3人で過ごせる」

 仕事内容は住宅販売から、中古マンションの調達に変わった。

「同じ業界でも仕事が異なり大変だが、刺激がある。十数年やってきたことに区切りをつけて、新しいことにチャレンジしたかった。転職は勢いがないとできない。結果的に、移って良かったが、会社の実情は入るまでわからない。踏ん切りをつけるには、合わないなら次に行けばいいという開き直りも必要だ」

週刊朝日  2017年4月21日号