プライベートの充実を支援する会社もある。PR会社のサニーサイドアップ(東京都渋谷区)は、11年に「恋愛勝負休暇」を導入。告白、プロポーズなど「勝負に出る日」のために、休暇を1日取ることができる。

 男性社員(23)は昨年12月、大学の後輩の女性に告白を決心。男性はこれまで彼女ができたことがなく、告白も中学生のとき以来だった。大事をとって恋愛勝負休暇を取得した。

 当日は午後からデートを予定。「朝はゆっくり寝ることができた」(男性)ため、体調は万全だった。

「午前中はいつもの休日のように洗濯や掃除などをして、落ち着く時間をつくることができた」

 と語り、心の準備もできたという。そうまでして臨んだ告白だったが、結果は「友達以上には思えない」と言われあえなく撃沈。

 男性は失恋を忘れるように仕事に没頭してきたが、実はまだ傷は癒えていない。でも大丈夫。同社には恋愛勝負休暇を取得した人に限り利用できる「失恋休暇」もある。男性はこの制度も利用し、「傷心旅行を兼ね、実家に帰る」ことも検討中だ。

 ウェブマーケティングなどを行うジオコード(東京都新宿区)では、10年に南アフリカワールドカップが開催された際に、「サッカー休暇」を制度化。社内で一緒に日本戦を観戦して、応援することが条件で、早朝の試合の場合は、その日の午後や翌日が休みになる。だが、負けると基本的に休暇はない。

 応援するための日本代表のユニホームや国旗などは会社から支給され、8割以上の社員が参加。同社は何かに熱中できる能力は仕事にも通じると考えているという。

 福利厚生を充実させれば「社員にやさしい」が、企業は利益を上げることが本来の目的。やさしさが会社の利益につながる仕組みづくりに取り組む企業もある。

 インターネットサービスを提供するGMOインターネットグループ(東京都渋谷区)が取り入れたのはコンシェルジュ制度。宅配便の受け取りや時計の修理などの雑務、雑用などを、会社が契約するコンシェルジュが代行してくれる制度だ。

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