パソコンの前で体を伸ばすネコ(ファーレイ)
パソコンの前で体を伸ばすネコ(ファーレイ)
仕事中もご主人に抱かれるミニチュアダックスフント(マース ジャパン リミテッド)
仕事中もご主人に抱かれるミニチュアダックスフント(マース ジャパン リミテッド)
昼寝用のイスで寝る社員たち(GMOインターネットグループ)
昼寝用のイスで寝る社員たち(GMOインターネットグループ)

 新年度を迎え、意気揚々と新しい世界に飛び込んでいく新入社員がいる一方で、ツイッターでは「懲役40年」という言葉がトレンドになった。若者にとって労働は「刑期」ということか。社員を大切にする会社なら、もっと前向きに働けるはずだ。

 新宿のとあるオフィス。電話が鳴ると、受話器を取った社員は電話機本体を手で覆いながら、話し始めた。

「これは電話を勝手に切られないための“ネコガード”なんです」

 と別の社員が説明する。そのそばで、机の上をわが物顔で歩き回る白黒のネコ。ホームページ制作などを行うファーレイ(東京都新宿区)の日常風景だ。

 同社は2011年ごろに、保健所などからネコを引き取った社員に月5千円を支給する「手当」や、ネコとともに出勤できる「猫同伴出勤」を整えた。代表取締役の福田英伸さんは「ネコをきっかけに会社に注目が集まり、優秀な社員が来てくれれば」と狙いを説明する。その後、空前のネコブームが到来。「志望した理由はネコがいること」など、実際に入社のきっかけになっているようだ。

 近年働く人の価値観は多様化し、ライフスタイルも変化。それに対応したユニークな福利厚生や会社の制度が生まれてきている。

 チョコレート菓子やペットフードの輸入・販売を手がけるマース ジャパン リミテッド(東京都港区)もファーレイと同様の制度がある。

 オフィスを訪ねると、飼い主のそばでおとなしく床に寝そべる豆柴や、抱っこひもで抱えられたミニチュアダックスフントなど飼い主と一緒に出勤してきたペットたちの姿が。11歳と高齢の域に入ったミニチュアダックスフントを連れてきていた女性社員は昨年、同社に転職してきた。入社の理由をこう語る。

「これから(ミニチュアダックスフントの)体が弱ってくるので、一緒にいられる時間を確保したかった」

 いまやペットも家族の一員。ペット関連の福利厚生の充実が人材を引き寄せる要素になっている。同社は「ペット同伴出社制度」のほか、ペットを飼い始めた際のお祝い金、お見舞金など慶弔制度があり、社員には獣医師もいるので、何かあればアドバイスを受けることができるという。

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