コンシェルジュの女性スタッフによると、最近の繁忙期は2月初旬。女性社員の代わりに「ゴディバ」のチョコレートなどバレンタインデーの贈り物の選定や購入の代行をした。女性社員にとってはチョコのために労力を奪われず、本業に専念できるありがたい制度のようだ。ちなみに、ホワイトデーにこの制度を利用した男性社員も「少しだけいた」という。

 同社は業務の効率化を狙ってお昼寝制度も導入している。11年にお昼寝スペースをつくり、12年には拡充し、今では昼寝用のイスを27台設置している。

 部屋をのぞいてみると、薄暗い中で、ほんのりラベンダーの香りが漂う。ヒーリングミュージックも流れる癒やされる空間で、スーツ姿の男性らが口を開けていびきをかく。15人ほどが気持ちよさそうに寝ていた。

「飲み会が続くなど体調が悪いときは、ここで寝ると元気になる。とても助かる」(50代男性社員)

 モバイルゲームの開発・運営などを行っているコロプラ(東京都渋谷区)でも、「良いものをつくるためには社員を良い環境に置く必要がある」という考えのもと、13年6月から、プロからマッサージを無料で受けられる「Kuma SPA」を開始した。パソコンでの業務が多い仕事柄、肩と首などが凝る社員が多く、凝りの解消が狙いだ。単なるマッサージにとどまらず、カルテを作成し、根本的な体のメンテナンスを目指す。社員からは好評で、2週間先まで予約が埋まっているという。

 同社を見学させてもらうと、なんと、テレビゲームが皆で遊べる広いスペースがあるではないか。「ゲームボーイ」や「スーパーファミコン」、「プレイステーション」など往年のゲーム機がずらり。ニンテンドウ64には、グループゲームの定番「大乱闘スマッシュブラザーズ」のソフトが差し込まれていた。昼休憩や終業後に遊んでいる社員が多いという。単なる息抜きだけではなく、「新しいゲームをつくるときの着想を得る狙いがある」(同社広報担当)という。

 政府の「働き方改革実現会議」の民間議員で、ジャーナリストの白河桃子さんは、さまざまな福利厚生の充実に取り組む企業が増えてきたのはよい傾向だとしたうえで指摘する。

「今後は経営戦略の一環として、労働時間や評価、報酬のあり方なども含めて、働き方改革に取り組まないと、人材が集まらず、ビジネスとして立ち行かなくなる」

 働く人が共感するような制度や環境が整った会社が少しでも早く増えることを願いたい。

週刊朝日  2017年4月21日号