「ここまでずさんな保育とは信じられない」(※写真はイメージ)
「ここまでずさんな保育とは信じられない」(※写真はイメージ)

「ここまでずさんな保育とは信じられない」

 と驚きの表情で語る保護者たち。

 給食のおかずはスプーン1杯程度、園児は定員の1.5倍、冷暖房はほとんど使わないなど、とんでもない状況が判明したのは、兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」(小幡育子園長)。

 兵庫県は3月末にも園の認定を取り消す方針であることがわかった。2015年の子ども・子育て支援新制度の導入以降、取り消しは全国で初めてという。

「2月に定期監査したところ、給食の数量などがおかしいことを把握し、2月23日に職員が抜き打ちで監査した結果、信じがたい光景が明らかになりました」

 と、姫路市健康福祉局監査指導課は話す。

 中でも市職員を驚かせたのは給食の分量で、73人の園児に対して42人分しか発注していなかった。園児が残すと冷凍して、再度提供することもあった。

 定員は22人もオーバーし、園には市を通して入園しなければならないが、月2万~4万円の保育料で独自に園児を集めていた。帳簿には記載せずに管理し、定期監査時には、発覚しないように園児を強制的に休ませていたから驚きだ。

 保育士の数も足りず、水増しし、保育士が欠勤や早退すると、月給から1万円を差し引くなど、労働基準法に触れる「闇契約」も判明。

「今日の給食はとてもおいしかったとか、でたらめの報告書を毎日書かされました。トイレットペーパーなど日用品は園で提供しなければいけないのに、子供に持参させていた。冷暖房も保護者が訪れる時間帯しか入れない。子供が服を汚したときなどは、洗濯機は電気代がかかると手洗いをさせる。『もったいない』が口癖で、どけちな園長。頭の中はいつもカネです」

 と、元保育士の一人は打ち明ける。

 そして、姫路市の担当者を驚かせたのは小幡園長の預金通帳。なんと1200万円余りの現金をプールしていた。

 もともと認可外の保育所を経営していた小幡園長は、親族から相続した土地に園を建てて認可を得た。小幡園長は本誌の直撃に、「監査の日、たまたま給食が少なかっただけ。お騒がせしてすみません」と言うばかり。

 だが、姫路市の担当者は、

「監査では給食や保育士の問題の大半を認めている。今さらですよ」

週刊朝日 2017年4月7日号