妻:私も最初は待ちました。「すごいな」と思って。でもね、まわりに迷惑をかけることが続くので「次からこうしない?」とやさしく言うようになり。

夫 僕の記憶では、突然、「どういうことよ!!」と机をバンとたたかれ、「あのぅ、向こうの部屋で」と言えば、「待ちなさい。逃げるの!?」。もうバンバンされるたび、心臓がはね上がり、ハムスターみたいに体が硬直して……。

――近頃は、夫が外にいても妻は追及の手を緩めず。夫が地方の仕事で新幹線に乗っていると、妻からメールが届くという。

夫:ケータイを開いたら、ぶわーっと(妻の)怒りが。10センチほどギッシリ文字が詰まっていた。一度静かに閉じ、深呼吸してから開きなおすんです。読み終えたら、はぁっ、とため息。「ごめん、チーズ」と返信をするんです。

妻:でも、怒って離婚してやるぞ、というのは一度もなかったですよね。

夫:それは僕が一方的にボコボコにされ、逃げていくから(笑)。たぶん、この状態が一生続くのかなと。そういえば、亡くなったじいちゃんも毎日、おばあちゃんに怒られて小さくなっていたなぁ。遊び人で仕事しなかったみたいなんです。

妻:昔の雑誌の記事に、彼が「理想の女性は怒ってくれる人」と答えているんです。じゃあ、合っているじゃん、て(笑)。

夫:M的な感情というか。怒られることがなく育ってきた反動なんでしょうね。でも、いまはちょっと怒られすぎでマヒしています。

妻:怒るのは、何度言っても改めようとしないから。

夫:自分のスタイルというものがありますから。こう見えて不器用なんです(頬を手でさするしぐさ)。

妻:なに気取っているの(笑)。あなたは(高倉)健さんじゃないのよ。

「松本キックの妻『彼に点数? 30点ね。』厳しくも優しい夫の支え方とは?
へつづく

週刊朝日 2017年3月17日号より抜粋