夫:当時は、相談を受けるくらい僕の立場は上だったんですよ。年齢も上だし。尊敬の目で見られていたはずが……(笑)。
妻:後輩の悩みを聞くことも多いんだよね。
夫:昔から相談のようなことはよくされますね。手相占い芸人の島田秀平から「キックさん、ボランティア線がありますよ」と言われたこともありました。コンビの相方の加賀谷には「助けられ線」があるみたいですし(笑)。
――出会いから3カ月後、二人は2007年に結婚。「僕が稼げるようになったときに」と挙式はしなかった。妻は芸能活動を休止し、長女・香々(ここ)が誕生した。
夫:僕は結婚なんて絶対しないと思っていたんです。正確には、できない。ひとりの時間、空間が好きで。勝手に自分で「哲学の部屋」と呼んでいるんですけど、昼間でも窓のシャッターを下ろして電気を消し、真っ暗にして、じっとしていると落ち着く。
妻:「瞑想してくる」とか言うんですけど、グーグー寝ているんですよ。
夫:まあまあ、それぐらい誰かと長い時間をともにするのは無理だと思っていたのに、不思議と嫁だけは(笑)。結婚に踏み切ったときは、「彼女を応援するんだ」という気持ちで……。
妻:私は、お互いに「ないもの」を補えると思っていました。
夫:二人で外出のたびに撮っていたプリクラは結婚後、滞りがちになったよね。
妻:ネタを考える貴重な時間をそんなことのために奪ったらいけないなと思ったからかなぁ。その間は、「パパ抜き」で子供とお出かけすればいいやと。
夫:いますごくいいように言っていますが、気づいたら僕だけハブられていたんですね(笑)。
妻:一緒に暮らし始めた頃から「なぜこの人は、すぐにやらないんだろう?」って疑問だったんです。私は、思い立ったらすぐに行動に移すタイプなので。
夫:確かに僕は、ダラダラとしているように見えるのかもしれない。でも、そうした時間はネタをつくるのに必要なんですよ。じーっ、と。ひたすら神様が降りてくるのを待っている。