検証では、「【1】情報源が記載されている」と「【2】特定の医療機関、またはサプリメントなどの広告ページにリンク・誘導している」という二つの指標を用い、信頼できる「レベルA(【1】を満たし、【2】ではないサイト)」、信頼度が最も低く、危険・有害な「レベルC(【1】を満たさず、【2】であることが明確なサイト)」、AでもCでもない「レベルB」の三つに分類した。

 その結果、検索で上位にきた約250のサイトのうち、レベルAだったのはたったの12%。レベルBは56%、レベルCは32%だった。この研究をサポートした同大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんは言う。

「信頼できるサイトが1割しかないというのは問題。一見、優良サイトのように見えて、ページを読み進めるとサプリメントなどを販売するサイトに誘導するリンクが張られていたりするものもありました」

 調査では、医療機関のなかにも、「問題のある内容を載せているケースがあった」と、勝俣さんは警鐘を鳴らす。代表的なのは、「がん」というキーワード検索で上位に出てくる自費診療を行うクリニックなどだ。診療のガイドラインから逸脱していたり、エビデンス(科学的な根拠)に基づかなかったりする治療にもかかわらず、患者数や症例を載せ、あたかもその治療が最良のように紹介されているという。

「しかもこうしたサイトは、一般的な医療機関のものとは比較できないほど立派なつくりになっている。がん患者さんやご家族は立場が弱く、藁をもつかむ思いでネットの情報を探す。そういうサイトを作る医療機関に希望を見いだし、頼ってしまうのです」(勝俣さん)

 同科にはサイトに載っていた治療法についてのセカンドオピニオンで患者や家族が毎日のように受診する。実際、治療のタイミングが遅れた例もあるそうだ。

週刊朝日  2017年3月10日号より抜粋