DeNAの記者会見の様子 (c)朝日新聞社
DeNAの記者会見の様子 (c)朝日新聞社

 DeNAのまとめサイトの問題で発覚した、ネットにあふれる根拠のない医療・健康情報。なぜ、そうした情報が出回るのか。そして、信頼できるものがどれくらいあるのだろうか。

「おや?」

 昨年8月、インターネットで婦人科の病気について調べていた編集者のAさん(40代)は、検索結果の上位にきていた医療系サイトの解説に目を留めた。そこには“女性ホルモンの影響でできる良性の腫瘍”と書かれていたが、ほかでは同じ病気が「悪性腫瘍」と紹介されていたのだ。

 疑問に思ったAさんが、サイトの運営会社に問い合わせたところ、「提携の医師に確認する」。だが、それ以降はなしのつぶて。数日後、サイトの文章は「悪性の腫瘍」と直されていた。

「私の場合は仕事で調べていたわけですが、もし、病気を疑った患者さんが最初にこのサイトの記事を読めば、良性なんだと安心してしまったかもしれない。治療が遅れたら取り返しがつかないと思います」

 ネット上にあふれる医療・健康に関する情報。なかには根拠がないもの、誤解を招くような表現やずさんな内容のものも少なくない。以前から専門家などが指摘していた問題が公になったのは、昨年のことだ。

 IT大手のDeNA(ディー・エヌ・エー)が運営していた医療・健康系のまとめサイト(外部の記事を集めて紹介するサイト)「WELQ(ウェルク)」などで誤った内容の記載や記事の盗用があった。外部の指摘を受けて発覚し、11月29日に同サイトは非公開に。12月7日に代表取締役社長兼CEOの守安功氏らが会見を開き、謝罪した。現在は第三者委員会による調査中だ。

 一連の報道によると、サイトには「肩こりは幽霊が原因」というトンデモ記事があったという。記者が見た記事は、抗がん剤の「トラスツズマブ」に関するもので、「副作用を知っておこう♪」と音符付きの見出しが躍り、患者への配慮が見られないものだった。

「問題なのは、そうした記事が検索結果の上位にきてしまうことです」

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