CGMは2000年ごろ米国で開発され、日本では10年に1型糖尿病や重症の2型糖尿病で低血糖を繰り返すようになった患者に対し、健康保険で使えるようになった。細い針のついたセンサーを腹や上腕に装着し、皮下の体液(間質液)中のグルコース濃度をリーダーと呼ばれる携帯型の装置で読み取る。1日24時間、数日分記録したデータをパソコンに移し、血糖値の推移をシミュレートしてグラフ化する。

 ただし、測定するのは体液中のグルコース濃度であって実際の血糖値ではないため、1日2~3回、指先から採血して測った血糖値で測定結果を補正しなくてはならない。また、糖尿病専門医2人以上が常勤する医療機関でなければ使用できないという条件もある。

 最大の難点は、機器の価格(医療機関の購入価格)が数十万円と高額なことだ。このため、主に医療機関が機器を購入し、入院患者や退院後に血糖値の変動を測定する必要のある患者に貸与して使われてきた。

 16年12月に発売されたCGM機器「フリースタイルリブレPro」は、センサーの改良により体液中のグルコース濃度と血糖値の相関が高いデータが得られるため、採血による補正が不要となった。リーダーには血糖値とその後の変動を予測する矢印が表示され、センサーをつけたまま運動や入浴もできる。データの記録期間は、最長2週間に延びた。

 医療機関の購入価格もセンサー約6500円、リーダー約7千円と大幅に下がり、センサーは健康保険の対象となる。患者の日常生活に即して血糖値の変動を把握するという、CGM本来の目的をかなえる初の機器といえそうだ。

 都内に住む会社員の勝山剛さん(仮名・44歳)は、近所のクリニックで糖尿病治療を受けていたが、血糖値が悪化し、東京慈恵会医科大学病院に紹介された。CGM検査と問診の結果、服薬やインスリン注射を忘れたり、時間がずれたりしていたため、血糖値の変動が激しいことがわかった。

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