今井氏は安倍首相の1月12日からのフィリピンなど4カ国歴訪に随行したが、途中で単独、渡米。

「ニューヨークでトランプ氏の娘婿であるクシュナー大統領上級顧問周辺にこの政策を説明した」(官邸幹部)という。

 半面、政府内では不協和音が起こった。

「今井は露骨すぎる。発展途上国に政府開発援助(ODA)をするような中身で、あまりに貢ぎすぎだ。世論の批判も予想される上、トランプ政権内の陣容も固まっていないので、発表された共同文書で原案を今後進めていくことを示す枠組み設置の文言となった」(外務省幹部)

 首相に近い自民党議員は「5回の会食を含めかなりの時間を共有し、首相が米国に対して好んで言う戦略的蜜月関係構築のいいスタートになった。経済貢献策は事務方が裏で必死に説明しているでしょう」と語る。 財源に日本の公的年金資産の活用を盛り込むとも取り沙汰される。政治学者の五十嵐仁氏は憤る。

「昨年のロシアへの経済協力もそうだが、安倍首相は一体、どこの国のトップなのか。対米隷属の朝貢外交の極みで、あからさまなアメリカ・ファーストだ」

 一方、スコア70台でシングルの腕前のトランプ大統領相手にゴルフを楽しんだ安倍首相はそんな批判はどこふく風だ。

「安倍さんのスコアは90台。まあまあという程度なので、休日(2月4日)も朝から都内のゴルフ場で必死に練習していた」(官邸関係者)

 一方、留守を預かる菅義偉官房長官と自民党の二階俊博幹事長は首相の訪米前、珍しく一緒に会食していた。同席した作家の大下英治氏によると、次のような会話が交わされたという。

 菅氏「首相は中国への思いを深くしています。対中関係のレベルを高めたいので、ぜひ協力よろしくお願いします」

 二階氏「米国も日中関係改善を日本に期待している。アジアの国同士、意見を交わし、仲良くやっていくことを考えている」

 政界一の親中派である二階氏への首相の対中融和協力要請は何を意味するのだろうか?

 今や世界第2位を誇る経済大国の中国。

「日米両首脳にとって安全保障面での中国包囲網の構築が共通認識なのは言うまでもない」(首相側近)

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