「せっかくここまで無事故を続けてきたのだから、事故を起こす前に運転をやめよう」と決心する高齢者や、それを促す家族が増えている。しかし、思い切って決断しても、運転免許証を捨てたり、引き出しにしまいこんで失効させたりしてはもったいない。

 運転免許証は有効期限内に警察署や運転免許試験場へ自主返納すれば、1千円の手数料を払うだけで「運転経歴証明書」の交付を受けることができる。すでに返納した人でも、5年以内ならさかのぼって申請することが可能だ。有効期限はなく、一度申請しておけば、更新手続きの必要もない。ちなみに、この手続きは高齢者に限ったものではなく、病気やけがで運転ができなくなった若年層でも同様だ。

 インターネットで「免許証返納 特典 ●●県」と検索すれば、特典の一覧を確認できる。メガネや補聴器といった高齢者を対象にしたものだけでなく、自動車教習所やレジャー施設の割引など、子や孫が喜ぶ特典も多数ある。なにより、返納による不便さや心の隙間も楽しく埋められるのではないだろうか。

週刊朝日 2017年2月17日号