ジェフ・ベック(撮影/馬場道浩)
ジェフ・ベック(撮影/馬場道浩)

 半世紀以上のキャリアにおいて常に進化を続けるギタリスト、ジェフ・ベックが1月から来日公演を行った。名曲「蒼き風」「哀しみの恋人達」から新曲までを縦横無尽に弾きまくるライヴはまさに“孤高”だが、ステージを降りるとシャイな笑顔のナイスガイだった。ライターの山崎智之がインタビューした。

──昨年11月、東京での「クラシックロックアワード」授賞式で3曲をプレイしてからわずか2カ月で日本に戻ってくるハード・スケジュールぶりで、相変わらずお元気ですね!

 うん、アメリカにも行ったし、今回日本に来る前には韓国でもショーをやった。さすがに少し疲れたね。でも俺はギターを弾くのが好きなんだよ。何よりもそれが理由だ。今回のツアー・メンバーはみんな素晴らしいミュージシャン揃いで、彼らとプレイするのはクセになる(笑)。「クラシックロックアワード」の出演オファーがあったのは、1月のツアーが決まった後だったんだ。主催の「クラシック・ロック」誌は何度も表紙にしてくれたり、長年お世話になってきたから、イベントを盛り上げるのに協力したかった。

──元気であるのに加えて、常に新しい音楽に挑戦を続け、ギタリストとして進化を続ける姿勢が素晴らしいですね。

 いろんなことをするのが好きなんだ。同じスタイルの音楽を延々とやり続けるなんて、自分には出来ないよ。エリック(・クラプトン)は尊敬する友人だし、最高のギタリストだけど、彼みたいにブルースを掘り下げるというのは俺には不可能だ。音楽で実験することを楽しむタイプなんだよ。

──最新アルバム『ラウド・ヘイラー』のモダンで鋭いサウンドも、そんな実験精神の表れでしょうか?

『ラウド・ヘイラー』の音楽性は、ロージー(・ボーンズ/ヴォーカル)とカーメン(・ヴァンデンバーグ/ギター)に出会ったことが刺激になったんだ。俺は影響を受けやすいタイプなんだよ。俺にとって楽しいのは、ミュージシャン同士の相互作用だ。特にシンガーと呼応し合うことにスリルを感じる。彼らがメロディーに乗せてメッセージを伝えて、それに俺が反応するんだよ。ギタリスト御用達アルバムを作ることには興味がないんだ。インストゥルメンタルを20曲収録する気はなかった。必然性のある範囲で、数曲やっているけどね。

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