戦後、活気づく大阪の闇市 (c)朝日新聞社
戦後、活気づく大阪の闇市 (c)朝日新聞社

 昨年はセブン&アイ・ホールディングス会長、鈴木敏文氏の退任で、流通業界に激震が走った。この騒動をライフコーポレーションの清水信次会長兼CEO(90)はどう見たのか。話を聞いた。

現在の業界トップはイトーヨーカ堂系のセブン&アイ・ホールディングスで、売上高が約11兆円に上る。
 
 セブン−イレブンの売り上げは世界で10兆円を超えるが、昨年、人事問題に揺れた。米国から日本に初めてセブン−イレブンを持ってきて大成功をおさめ、カリスマ経営者の名声をほしいままにしていた鈴木敏文名誉顧問(84)が2016年5月、突如会社を去ったのである。

 騒動の発端となったのは同4月7日の取締役会で当時、セブン&アイの会長兼CEOだった鈴木氏が、セブン−イレブンの井阪隆一社長の退任を発議。ところが、取締役会で否決され、逆に鈴木氏が会長職を退任する衝撃的な結末となった。

 鈴木氏の次男の康弘氏(51)も昨年12月でセブン&アイ取締役を退任。

 入れ替わるように、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊名誉会長(92)の次男、伊藤順朗氏(58)が同12月、取締役から取締役常務に昇格し、カリスマ経営者から創業家への回帰路線が浮き彫りになった。

 鈴木敏文氏、創業者の伊藤氏ともによく知る清水氏の目には一連の騒動はどう映ったのだろうか。

「鈴木さんと出会ったのは、40年以上前だな。僕はね、彼が1974年5月に江東区豊洲にセブン−イレブン第1号店を出したとき、こっそり見に行ったんだ。僕はピンとこなかったが、伊藤さんは鈴木さんを信じて全部任せて10兆円を稼ぐまでに成長させた。伊藤さんにとって選択肢はほとんどなかった。鈴木さんに代われる人がずっといなかったからね。社長をやれる人材ってね、そんなにいないもんだよ」

 セブンと双璧をなし、いなげや、マルエツなど300社以上が集まる集合体のイオングループは総計8兆円の売上高を誇るが、その創業者である岡田卓也氏は清水氏の一つ上で91歳。ヨーカ堂創業者の伊藤氏も92歳と同世代なので、「3人会」をつくり、年に数回会って情報交換をしているという。

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