三菱出身者に会社を譲ったのは、この先もライフが生き残るためだ。

「鈴木敏文さんがいなかったら、イトーヨーカ堂だってどういうふうな運命になっとったかわからんね。うちだって岩崎社長に任せなかったら、今の時代にあるかどうかわからん。百貨店を見てください。ピーク時は10兆円近くあったのに、今や6兆円をキープできない。弱い動物だって必死に生きている。人間、企業だって、必死にこの先どうなるんだろうと、常に思ってないとね、生き残ってはいけませんよ」

 90歳の清水氏だが、今も毎日、出勤し、杖をついて店舗の視察にも行く。

「もうあちこちボロボロ。糖尿病だし、年いって、目にいっている血液がなくなって、左目は失明して見えないから真っ暗。耳は補聴器だし、家へ帰ると入れ歯を取りますよ」

 長寿の秘訣は何なのか?

「もう20年近く、午前6時30分から『ラジオ体操』を聴きながら体操しています。でもね、元気の秘訣は仕事を続けること」

 激動の時代を生き抜いて御年90、まだまだ現役を続ける。(本誌・上田耕司、森下香枝)

週刊朝日  2017年1月27日号