■思い当たったら要注意!「不機嫌脳」チェックリスト


□以前とくらべ、ちょっとしたことでイライラしやすい
□自分の考えが通らないと、ついむっとしてしまう
□一度不機嫌になると、なかなか気持ちを切り替えられない
□定年後、夫や妻と口論することが増えた
□やる気がなくなったり、無気力感に襲われることが少なくない

 加齢によるものなら仕方ないのか……と落ち込む前に、ぜひ読み進めてほしい。何とこの不機嫌化、いくつかのポイントを押さえれば、気分を自分でコントロールし、ご機嫌モードに変えることができるというのだ。次の項目から、ご機嫌でいることの健康へのメリットとともに、具体的なメソッドを紹介しよう。

 ご機嫌でいると、健康状態が良く、幸せに長生きできるらしい──。

 こんなうそのような話が近年、国内外の医学の分野で聞かれている。「ご機嫌」の測り方は、主観的な「幸せ度」を測るものが主流。この幸せ度と、健康・長寿の関係を決定付けた研究結果が01年にアメリカで発表され、注目を集めた。ご機嫌でいることのメリットは、長寿に始まり、高血圧や高血糖を防いだり、病気を寄せ付けにくい体になったりするなど、さまざまな効果が実証されている。

 ポジティブ心理学に詳しい日本抗加齢医学会理事長の坪田一男さん(慶応義塾大学医学部教授)は言う。

「人がストレスを感じると、体内でストレスを緩和させるホルモン、コルチゾールが分泌されます。しかし、このホルモンの値が高くなりすぎると、血圧や血糖値の上昇や免疫力を下げるなどのリスクや弊害も出てきます。つまりご機嫌でいる人のほうが、コルチゾール値が低く、病気も寄せ付けにくいと言えます」

 トップアスリートのメンタルトレーニングも行うスポーツドクターの辻秀一さんも、「ご機嫌の価値」をこう語る。

「ご機嫌でいると、健康へのメリットのみならず、何かに取り組む際のパフォーマンスが上がり、成果や結果が出やすくなります。トップアスリートほど、機嫌に左右されない軸を持っている。スポーツやビジネスシーンに限ったことではないでしょう。例えば“平穏に死ぬ”という願いも、ご機嫌で過ごすとよりかないやすくなると思いますよ」

 ご機嫌な人の周りには人が集まってきやすいが、いつも機嫌が悪い人に人は寄ってこない。「孤独になりづらい」という点も、ご機嫌でいる大きな価値の一つだ。辻さんは言う。

「定年後こそ、常にご機嫌でいる努力をすべき。仕事をリタイアし、利害関係でのつながりがなくなると、不機嫌でいることは自分の人間関係にダイレクトに影響してきます。言うまでもなく、不機嫌な人ほど人が離れて孤独になり、幸福度までもが下がるのです」

週刊朝日 2017年1月27日号より抜粋