安定した安倍政権。だが政治の一寸先は闇だ (c)朝日新聞社
安定した安倍政権。だが政治の一寸先は闇だ (c)朝日新聞社

 第2次政権発足からすでに4年経過している安倍政権。高い支持率を得て順風満帆な政権運営をしているように映るが、政治アナリスト、伊藤惇夫氏は2017年の安倍政権の行方は波乱を秘めていると見る。

 まずは、政権の看板「アベノミクス」について。

「経済優先を掲げて期待感で国民をつなぎとめてきましたが、アベノミクスの恩恵を享受しているのはごく一部です。7月の参院選の投票動向や各種世論調査では、無党派層が自民党離れを起こしている。これは、大多数の人たちが景況感を実感していないという表れでしょう」(伊藤氏)

 しかも成長戦略の柱と位置付ける、TPP(環太平洋経済連携協定)も米国の撤退宣言で成長戦略の見直しを余儀なくされている。

「アベノミクスがこのまま失速すれば、強みは弱みに転じてしまう」(同)

 そして、最大の死角は安倍晋三首相の「欲」だ。伊藤氏によると、総理になると3大欲望を持つといい、一つ目が長く政権の座に就くこと、二つ目は自ら解散に打って出て選挙で勝つこと、そして三つ目が歴史に名を残すことだという。

 16年、三つ目の欲を満たそうと安倍首相は日ロ交渉に臨んだが、ロシアの「経済食い逃げ」で終わった。ならば真珠湾慰霊で、歴史に名を残せるか。
「負の遺産清算の意義はあるが、外交成果とは言えない。世論への効果も一過性でしょう」(同)

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