ハウスクリーニング代を節約し、自分で水回りの水垢取りをするため、大型スーパーで「アメリカ海軍使用」とPRされていた業務用の酸性洗剤のHALT(ハルト)を購入。ピカピカに磨き上げるなど“見栄え”に熱を入れている。

 マンションの場合も同様だ。

「同じマンション内でも、『ここだけリフォームして魅力的な資材が使用されている』『人気でなかなか中古が出ず、今もここだけしか売りに出していない』などの条件があれば、絶対価値をアピールできる。どれだけ『ここにしかないもの』を訴えることができるかが勝負になる」(岡本氏)

 業界では、「買い手は物件の半径500メートル以内にいる」という鉄則がある。

「最初に隣家に売却を打診するのも手です。中古の家やマンションは近所で賃貸住まいをしたり、広い家への買い替えを検討している買い手が多い」(同)

 それでは、売るときに知っておくべきポイントを挙げたい。

 まずは、売るときにかかる費用【1】仲介手数料(売却価格×3%+6万円)×1.08(消費税)【2】売買契約書印紙税【3】抵当権抹消登記代【4】住所変更登記代──など。1千万円で売った場合、42万円前後、2千万円で75万円前後、3千万円で105万円前後が目安とされる。

 社会問題化している全国で約820万戸(2013年)に達する空き家は、新耐震基準が導入された1981年以前に建設された築35年以上の古いものが全体の3分の2を占める。ある仲介業者の解説。

「一戸建ての場合、査定額は新築を100とすると、築3年で70、築10年超で50、築25年超では0と見なされる。マンションは購入時から1年ごとに購入価格の3%程度目減りします」

 仲介歴15年の「ヨコハマ地所」(横浜市)事業部課長の桐澤聡氏はこうアドバイスする。

「不動産業界は熾烈な競争社会。妥当な査定額にする会社もいれば、高く査定する企業もいる。うちではお客の生の声を聞くことで、物件の見えない良いところ、悪いところの把握に努めてます。物件を一番知っているのは所有者。購入検討者は間取りや色合い以上に『ここが使いやすいですよ』という声を聞きたいのです。それこそが査定金額のプラス材料・PRポイントになる。それと営業マンとの相性を見るのも大事。売り主、買い主両者の気持ちを奇麗につなぎ合わせてうまく取引できる営業マンを見つけてほしい」(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2017年1月6-13日号より抜粋