空き家バンクの協定に調印した朝倉市長(左)と福岡県宅地建物取引業協会会長 (c)朝日新聞社
空き家バンクの協定に調印した朝倉市長(左)と福岡県宅地建物取引業協会会長 (c)朝日新聞社

 実家の処分、家の買い替えなどで、マイホームを手放したい。だが、2033年には約3軒に1軒が空き家になるとの予測も出ており、うかうかしていると、「物件の50%がごみ屋敷になる」という。宝の持ち腐れにならないためにも、自宅をいかに高く売るか、方策を探った。

住宅情報誌の編集長などを務めた大久保恭子氏はこう断言する。

「家の評価を決めるのは8割がた立地、交通の便です」

 こう言われると、バス通勤などの読者には身も蓋もないように聞こえるが、高く売るための具体的なポイントについて、大久保氏は以下の留意点を挙げた。

「一般的に売り手は仲介会社と『一般媒介契約』か『専属専任媒介契約』を結びます。お勧めは1週間に1回以上の状況報告義務がある専属専任媒介契約を1社と結ぶことです。売値に対する合理的な説明もしてくれます。一般媒介契約は報告義務がないので、ずるずると後手に回ってしまう可能性が高い」

 さらに、高く売るためには、焦りは禁物だという。

「高く売りたいなら、時間がかかることを覚悟したほうがいいでしょう。住宅の購入意欲が高まるボーナス時期や、経済が上向き株価が上がり始めたときなど売り出すタイミングを計ることも必要です」(大久保氏)

 不動産コンサルタントの岡本郁雄氏も「自宅の誇れる点をアピールすることが必要です。見栄えは非常に大事です」と付け加える。いい例を紹介しよう。

 12月上旬、町田市の住宅街の一戸建て(築14年で約120平方メートルの4LDK)を約2500万円で売却した世田谷区在住の女性Aさん(46)は言う。

「売り出しから半年間かかりましたが、新築で購入した値段から住んだ年数を差し引いても百数万円の利益が出る値段で売れ、所得税を納めることになりました」

 仲介は業界大手の住友不動産。最寄り駅まで徒歩15分とやや遠いが、目の前に川が眺められる自然あふれる立地。バーベキューなどを楽しめる庭があることをアピールしたら、4人の子持ちの30代の夫婦が購入。

「今は新築物件は高騰し、市場が頭打ちになり、秋ごろから中古住宅が動いている。特徴をアピールできるいい物件であれば、時間をかければ必ず売れます」(大手不動産営業マン)

 三鷹市の一戸建ての売却を急いでいる男性会社員Bさん(43)は、少しでも高く売るために、努力する日々だ。

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