乱歩文学の2大ジャンルである“推理”と“怪奇・幻想”。今回の芝居のモチーフにした短編は、その両方から分け隔てなく選ばれている。演劇も、読書も、映画も、ドラマも、“物語”にまつわるあらゆるカルチャーが大好きだという黒木さんに、「なぜ物語に惹かれるのか?」という問いを投げかけてみると、しばらく黙って熟考したあと、こう答えた。
「考えたり、想像したりすることが、心を豊かにしてくれるからなんだと思います。舞台にしても小説にしても、食べ物のように生きていく上で必要不可欠なものではないけれど、でもそれは、人間しか持ち得ない“余裕の時間”ですよね。私の心は、今まで読んだ本、観た映画や舞台、そこで考えたこと、今まで出会った人たちの言葉とか……そういうものによって形成されている。だからもし、舞台を観にきてくださる方が、観終わった後に、友達と感想を伝え合ったり、みなさんの“余裕の時間”に繋がるような作品をお届けできたらいいなと思います。そういう意味では、毎回、責任重大ですね(笑)」
女性としての目標は、「可愛いおばあちゃんになることです」と即答。
「年を重ねるほど、シワや表情や姿勢に、生き方が表れるものですよね。だから失敗も含め、今はとにかくいろいろな経験をしたいです」
※週刊朝日 2016年12月30日号