定年後の新たな選択肢として、「起業で稼ぐ」ことが注目されている (※写真はイメージ)
定年後の新たな選択肢として、「起業で稼ぐ」ことが注目されている (※写真はイメージ)

 厚生労働省の調査によると、定年後の働き方として8割以上の会社員が選ぶ道が「継続雇用制度を利用して働く」だという。継続雇用は安心感が魅力だが、仕事のやりがいや給与面で不満を抱く人も多い。そんな中、新たな選択肢として、「起業で稼ぐ」ことが注目されている。

 シニアのライフスタイルや動向に詳しいアリア代表の松本すみこ氏は「発想を転換すれば、定年後こそ、自分の思いどおりに働ける時期です」と力説する。

 サラリーマンの場合、現役時代は勤務先の会社の仕事をする以外ないが、定年後はさまざまな分野の仕事を自分の意思で自由に選ぶことが可能になる。子どもが独立を迎える年代なので教育費や生活費の家計負担が減り、いずれ年金の支給が始まるため、現役時代ほどバリバリ働いて稼ぐ必要性も薄まるだろう。年齢的にまだまだ気力や体力があり、思い切って新しい仕事に挑戦することもできる。

 定年後の最大の魅力である自由と時間的な余裕を生かした働き方として、松本氏がリタイア世代に提案するのが、「起業(フリーランス)で稼ぐこと」だ。

「起業」と聞くとハードルが高そうに思えるが、特別なことではないという。

「フリーランスとは、個人で独立して仕事を請け負う働き方のこと。専門的な資格をもつ人が独立・開業して働くケースだけでなく、インターネットで手づくり品を販売したり、頼みごとを引き受けて報酬をもらったりすることも含まれます。誰でもフリーになれますから、大げさに考えなくても大丈夫です」(松本氏)

 とはいえ、長年組織に属して働いてきた人が定年後にいきなりフリーで働くには、意識改革が必要だ。まず必要なのは、「安定した職場と給与を確保したい」というサラリーマン根性を捨てることだ。

「最初から高い目標を掲げず、決して無理をしないこと。まずは月2万~3万円の『小遣い稼ぎ』を目指しましょう」(同)

 また、どんな人にも必須となるスキルが、ITの活用だ。自己PRや情報発信、仕事の受発注、人脈づくりやビジネスのアイデア収集など、インターネットやSNSを通じてできることはたくさんある。

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