レベルが違うマイク・パフォーマンスに興奮! 「ドラゴンゲート」の実力
作家でコラムニストの亀和田武氏は、週刊朝日で連載中の『マガジンの虎』で、プロレス団体「ドラゴンゲート」を取り上げた。
* * *
後楽園ホールで、プロレス団体「ドラゴンゲート」の試合を観戦した。ずいぶん足が遠のいていたな、会場から。
全日本女子で高橋奈苗(現・奈七永)のデビューした年が最後だから……いま調べると1996年だって、なんと20年ぶりの後楽園ホールだ。
聖地巡礼という言葉も聞き飽きたが、後楽園ホールはまぎれもなく、いまもプロレスの聖地だった。楽しかったよ、ドラゴンゲートの試合。
メキシコのルチャ・リブレをベースにしたスピーディーな展開と多彩な技の応酬に、観客は大喜び。早速、翌日「週刊プロレス」(ベースボール・マガジン社)12月14日号と、東京スポーツを購入。
東スポによれば、前日の観客は1850人(超満員札止め)。多くの団体が厳しい経営にあえぐなか、大健闘だ。前日もっとも目立ったのが、土井成樹(36)だった。マイクを握ってのパフォーマンスが絶妙に巧い。ドラゴンゲートは神戸が本拠地だ。関西のお笑い芸人のように喋り倒す土井ちゃんにホールの笑いと興奮は高まるばかり。
試合後のマイク・パフォーマンスは、どの団体もやる。しかし土井の喋りはレベルが違う。「週刊プロレス別冊・ドラゴンゲート大百科2016」には“マイクに関してはずば抜けた才能を発揮”とある。編集長との対談でその才能を誉められると、「でも、ひとついっておきたいのは根本の試合が一番大事ですから(中略)いくらマイクがうまくて笑いをとってもお客さんがついてこないと思うんです」。
選手の身長は170センチ前後。体重も70キロ台だ。私たちと大差ない。鍛えあげた筋肉と技と喋りで会場を沸かせる選手たち。また行くよ。
※週刊朝日 2016年12月23日号
