田原総一朗「トランプ勝利と英EU離脱を生んだ『追い詰められた国民』」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「トランプ勝利と英EU離脱を生んだ『追い詰められた国民』」

連載「ギロン堂」

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田原総一朗氏は「トランプ氏の大統領当選は、根底にイギリスのEU離脱と酷似した要素があった」と指摘する (※写真はイメージ)

田原総一朗氏は「トランプ氏の大統領当選は、根底にイギリスのEU離脱と酷似した要素があった」と指摘する (※写真はイメージ)

 蓋を開けてみれば、泡沫候補と言われていたドナルド・トランプ氏が当選した。ジャーナリストの田原総一朗氏は、米国大統領選挙には「根底にイギリスのEU離脱と酷似した要素があった」と指摘する。

*  *  *
 米国大統領選挙は大接戦の末、ドナルド・トランプ氏が当選した。行政経験のまったくないアウトサイダーのトランプ氏が、オバマ大統領の国務長官も務めたヒラリー・クリントン氏を破ったのである。

 選挙戦が始まった当初は、トランプ氏はいずれ姿を消す泡沫候補だと思われていた。トランプ氏の発言は、メディアからは「暴言」だと厳しい批判を浴びていた。しかも、批判を浴びながら、彼は「暴言」を繰り返した。

「メキシコからの不法移民を阻止するために、メキシコとの国境に万里の長城のような壁をつくる」

 あるいは、「イスラム教徒の入国を一切認めない」とも言った。

 米国は日本や韓国、ドイツなどに多くの軍人を駐留させていて、そのために莫大な費用がかかっている。それらの費用を各国に負担させる。各国がそれを拒めば、駐留軍を全面的に引き揚げるとも言った。

 米国は第2次大戦後、世界の警察の役割を演じてきた。ソ連を中心にした東側との激しい対立、つまり東西冷戦の時代には、米国は西側陣営を守る役割を果たし続け、ソ連が崩壊して冷戦が終わると、世界各地の民族紛争を抑えるなど、文字どおり、警察官の役割を果たしてきた。だがアフガン戦争、そして特にイラク戦争は誤りだと世界から非難され、米国国内でも批判が高まって、そのためにイラク戦争に反対したオバマが、黒人として初の大統領になったのであった。

 そして、オバマ大統領は「世界の警察をやめる」と宣言した。

 だが、トランプ氏に言わせると、シリアやイラクの内乱にも、ウクライナ問題にも介入していて、中国、北朝鮮に対抗するために日本や韓国、そしてフィリピンにも軍隊を派遣している。つまり「世界の警察」をやめておらず、そのために莫大な費用がかかり、少なからぬ軍人の生命も失われている。だから、本当に「世界の警察」をやめて、米国の利益第一主義に徹する、というのである。従来のあり方を徹底的に変える、ということだ。


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