「11月になり、25年前の(電通社員の)過労自殺の記事を持ってきて、『こうなりそう』と言いました。私は『死んじゃだめ』と何度も言いました」
まつりさんからパワハラやセクハラの訴えも出ていたことを明かした。仕事を減らしてほしいという要求は、企業と労組が協定を結べば法の上限を超える残業や休日出勤ができる「36(サブロク)協定」を盾に受け入れられなかったという。
まつりさんは精神まで病み、先輩にあてたメールに、
「死ぬのにちょうどよい歩道橋を探している自分に気がつきます」
とまで書いていた。幸美さんはときおり涙ぐみながら、
「娘のはじけるような笑顔も、永久に奪われてしまいました。大切な娘は二度と生きて戻ってくることはありません。手遅れなのです」
と訴え、こう続けた。
「過労死、過労自殺は、偶然起きるのではありません。起きるべくして起きているのです。経営者は、社員の命を預かっているのです」
※週刊朝日 2016年11月25日号