ユカタン半島、メキシコ/地中に存在する聖なる泉“セノーテ”(撮影/高砂淳二)
ユカタン半島、メキシコ/地中に存在する聖なる泉“セノーテ”(撮影/高砂淳二)

 世界の5大陸と3大洋をめぐるアースフォトグラファー・高砂淳二氏が触れた地球の生きた鼓動――。アイスランドの“神の滝”や氷の洞窟、世界一のエンジェル滝にかかる夜の虹、直径30メートルの夢のような珊瑚島、“天空の鏡”ウユニ塩湖など、世界中で撮影された絶景・美景が収められた写真集『Dear Earth』を発表した高砂氏が抱く、地球に対する思いとは? 私たちの星の美しさや温かさを感じてほしい。

【写真特集 青い地球のふところ】

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 生き物を撮るときと同じように、僕は話しかけながら地球を撮る。心が通じるような気がするからだ。夢中で地球と向き合っているうちに、自分も地球と1つになっているように感じることがある。風の動き、太陽が雲から顔を出すタイミングなどが自分のタイミングと合ってくるような、そんな感じだ。また、ふと地球の温かみに触れて心が震えることもある。そんな時、大地に向かってその喜びを伝えようと思う。

 僕ら生き物に、当たり前に食べものや薬を差し出してくれる地球は、知れば知るほど、ただの“土塊”などではなく、まるで母親のような心ある存在だと感じる。優しい草原、透明な海、神々しい大地などに心が震えるのは、その奥に存在する、そんな心のようなものに触れるからなのだろう。

 世界の多くの先住民たちは、地球に語りかけ、愛(め)でて、感謝することが、育んでくれていることへの恩返しになり地球への癒しになる、という。さまざまな自然災害で自然への恐怖や不安が膨らんでしまい、地球との関係がギクシャクしてしまっている今、そんな風に接することが、地球との関係をもう一度取り戻す上で大事になってくるのかもしれない。

 それにしても地球は本当に美しい。その美しさを分かち合い、地球の生きた鼓動を一緒に感じていただけたら嬉しい。(写真・文/高砂淳二)

週刊朝日  2016年8月26日号

Junji Takasago(高砂淳二)
自然写真家。1962年、宮城県石巻市生まれ。世界中の国々を訪れ、海の中から、虹、生き物、風景、夜空まで地球全体をフィールドに撮影活動を行っている。海の環境NPO法人“OWS(Oceanic wildlife society)”理事

■写真展「Dear Earth」
開催期間:8月16日(火)~9月5日(月)
会場:コニカミノルタプラザ(東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F)
入場料:無料
高砂淳二トークショー:
8月19日(金)19:00~20:00、8月27日(土)14:00~15:00