夫:そのギャラが50万円だったんです。自分たちにしたら見たことないような大きい金額で。

妻:そのころスイセイの娘と3人で住んでいて、家族で「引き受けるかどうか」緊急会議を開いたの。

夫:娘は0.1秒で「ない、ない!」って即答。オレが一番50万円に目がくらんどった。「え? やらないの?」って(笑)。

妻:結局、断ったんですけどね。スイセイはそういうときに的確にアドバイスをくれて、軌道修正もしてくれる。若いころから詩を書いていて言葉のセンスがさえている。私の本のタイトルはほとんど彼がつけています。実はずっと物を作り続けている。根っから“アーティスト”なんです。

夫:性分なんですね、そういうことが。それを「動物」と言ってみたり、「発明家」や「工作所」と名乗ったりしてやり続けている。

妻:いまは事務所を運営してくれるプロデューサー的な存在でもある。二人で「高山なおみ」を作ってきたんだと思います。

週刊朝日 2016年7月8日号より抜粋