綾野剛さん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・堀内慶太郎)
綾野剛さん(右)と林真理子さん(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 イケメン実力派俳優でありながら気さくでやさしい綾野剛さん。作家・林真理子さんとの対談で同世代の俳優について語った。

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林:私、「最高の離婚」(13年、フジテレビ系)も大好きだったんですが、あの役は綾野さんの実年齢に近いから、やっぱりやりやすかったですか。

綾野:むしろ難しかったですね。僕が演じた上原諒という人間はかなり特殊で、現実の僕とは相当かけ離れてますから。あのドラマでは瑛太君と尾野真千子さん、僕と真木よう子さんが夫婦役だったわけですが、僕は他の3人と“つながらない”作業をしたんです。それによって彼が持つ独特の浮遊感を出すというか。

林:なるほど。

綾野:たとえば撮影のとき、カメラマンさんから「これだと真木よう子さんが映らないから、綾野くんちょっと後ろに引いて」と言われたときがあったんです。でも次の瞬間すぐに、「でも、諒だからいいか。気にせずに動いていいよ」と言われて、そこからフワフワしたあの役ができていきました。僕は他の役者さんや監督、スタッフの方々とコミュニケーションを積極的にとってつながりを持つタイプですが、あの役では芝居に入るときに一度それを断ち切りました。実際の僕は「人生は人だ」と思うくらい、人とつながることが好きなんです。

林:今、綾野さんたちの世代の俳優さんってすごく仲が良くて、「この役やってみない?」とか、自分たちでオファーし合ったりしてるんでしょう?

綾野:仕事はあくまでも事務所やマネジャーさんを通してですが、意見交換をすることはありますね。「こういう話ってどう? 話がいくかもしれないから、よかったら読んでみて」とか。現場での役作りはあくまでも自分自身で乗り越えることですが、仕事をとってくるのはあくまで他力本願というか。マネジャーさんや事務所とのパートナーシップがあってこそだと、そこは忘れないようにしています。

林:それはそうですよね。でも、しょっちゅう会って、演技論を戦わせてるとか?

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