世間では新作の印象が強い昇太だが、古典の名人であることも忘れてはならないだろう。00年の文化庁芸術祭では、古典落語が評価され、大賞を受賞した。

 68年から笑点のお題作りに関わる放送作家の遠藤佳三さんは、座布団獲得の“ものさし”をしっかり立て直してほしい、とエールを送る。

「番組がスタートしたころの座布団の取り合いは、緊張感があり、私もハラハラしながら見ていたものです。しかし、座布団をあげる、奪うの基準が、次第になし崩しになってしまいました。演出なのでしょうが、ゴマすりの回答に一枚あげたり、逆に虫の居所が悪いと取り上げたり、と嘆かわしい場面さえありました」

 先の彦いちは苦笑する。「昇太兄さんは、面白いことが大好きな人。泊まりで釣りに行くと、本気になって枕投げや、しりとりに興じる。笑点の司会として新しい『笑い』を生み出すために全力疾走してくれるはず」

 受け継いだ伝統に敬意を払いながら、工夫を重ね、新しさにも大胆に挑戦する。放送開始から50年。新メンバーを迎え、昇太の司会ぶりに注目が集まる。

週刊朝日  2016年6月10日号