彼女の手元を見ると、ほどよく伸びた爪に淡いピンクのマニキュアが塗られていた。野球少女から大人の女性になったのだろう……と感慨深く思っていると、

「始球式のときは、爪は短くします。おしゃれができないのは全然苦じゃないので。爪より野球です(笑)」

 あっぱれの野球愛だ。今後もいくつかの始球式に出ることが決まっているという彼女には、ひそかな野望がある。

「始球式で変化球を投げてみたいな(笑)。縦スラ(イダー)は今も投げられるんです。けっこう曲がるんですよ」

 いたずらっぽく笑う彼女に今後の夢を聞いてみた。

「まずは始球式(プロ野球)12球団制覇です。それができたら、メジャーの始球式で投げたいな。そのためにはこれまで以上に頑張らなくちゃと思ってます」

 キレキレの変化球に、メジャーでのマウンドさばき。期待しております。(本誌・上田耕司、太田サトル、永井貴子、秦正理、藤村かおり、牧野めぐみ、松岡かすみ、山下美樹子、吉嵜洋夫/浅野裕見子)

週刊朝日  2016年5月20日号