循環器内科医で、東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌医師は、避難生活の長期化で、心血管病の危険性が高まると指摘する。

 過度なストレスが引き起こすのが“たこつぼ型心筋症”だ。心臓の動きが極端に悪くなって血圧が下がり、激しい胸痛と呼吸困難が生じる。すぐに病院で適切な治療を受ければ、大事には至らないという。

「高血圧などの持病がなくても、ストレスには注意が必要です」(桑島医師)

 呼吸器の病気にも注意が必要と言うのは、東北大学病院総合地域医療教育支援部准教授の高山真医師だ。

「がれきによる塵やホコリを吸い込めば、気管支炎などが起こりやすい。避難所に入る際は土足でなく、スリッパなどに履き替えてほしい。肺炎予防には口腔ケアが大切で、歯磨きができなければうがいだけでもしてください」。(本誌・山内リカ)

週刊朝日 2016年5月6-13日号