内藤やす子さんの原動力とは(※イメージ)
内藤やす子さんの原動力とは(※イメージ)

「今日は調子がいいかも」

 ハスキーボイスでそう言いながら、歌手の内藤やす子さん(65)が都内のレコーディングスタジオから出てきた。6月に、12年ぶりに新曲を出す予定だ。

 彼女が「弟よ」でデビューしたのは41年前。35万枚ヒットし、翌年「想い出ぼろぼろ」でレコード大賞最優秀新人賞を取った。その後「六本木ララバイ」で紅白歌合戦に初出場。ピンク・レディーなどアイドルと一線を画した歌唱力が絶賛された。いま注目されているのは、昭和の名曲に加え、内藤さん本人の復活劇だ。

「5年前まで右半身が痺れていて、お茶碗を持つのも大変だったの」

 内藤さんは10年前、ディナーショー中に脳出血で倒れ、数カ月の入院を経て自宅で療養していた。3月4日、「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)に出演して10年ぶりに歌声を披露。そのときに紹介された夫マイケルさんとの“二人三脚”のリハビリも話題になった。夫は21歳も年下のオーストラリア人だ。内藤さんが44歳のときに「六本木のハードロックカフェで出会った」という。内藤さんが歌手とは知らず、得意な武道の話で意気投合して結婚

「倒れてから、都心から私の実家のある下町に移り、彼は英会話教師をしながら生活を支えてくれた。生徒さんも皆離れないでいてくれたんです」

 内藤さんは後遺症で数分前のことを忘れる記憶障害に苦しんだが、「毎日の犬の散歩」と、夫が買ってきた「計算ドリル」を繰り返し、少しずつ記憶を取り戻していった。

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