「管理職研修のときに習ったコミュニケーション技法『コーチング』がじつは、役に立つんです。老若男女問わず、相手が自分の話に耳を傾けてくれると、嬉しい気持ちになりますし、『自分をわかってくれる人がいる』と思われる絶好のチャンスです!」

 コーチングとは、相手の話をよく聴き(傾聴)、質問をして、相手をほめる。この三つで部下のモチベーションを上げるというもの。

 このうちの「聴く力」、傾聴力を鍛えると、聴き上手になれて、誰からも好かれるという。

 前出・国光さんは、管理職のときに取得したコーチングの資格が今、役に立っているという。

「話をしながら相手が思っていることを聞き出し、人の気持ちを察することが身につきました。『ああしたほうがいい』と答えは言わないで、相手から答えを導き出す。カミさんとの会話でも、じっくり耳を傾ける。夫婦円満の秘訣です(笑)」

 そこで、麻野さんに傾聴のチェックリスト15項目をあげてもらった(下表)。

 10個以上チェックがつけば、「誰からも好かれる聴き上手」。麻野さんが言う。

「若い世代の考えに合わせてみるのも『年下上司』とうまくやるコツのひとつです。例えば、60代の人たちは、車を持つことに対するこだわりが強く、車種でステータスを感じ取っていた。ところが、40代以下は、そうでもない。駐車場代がかかるのでレンタカーでも十分という人が多い。それでも、若い人たちと接点を持って会話を成り立たせられるかどうか」

◇「聴く力」チェックリスト
・メンバーの立場になって聞いている
・何を言おうとしているかに意識を集中して聞いている
・相手に理解したことを伝えている
・思いやりをもって対応している
・相手の顔を見て聞いている
・沈黙があっても相手の言葉を待つことができる
・あいまいな点は確認したり、要約しながら聞いている
・相手の気持ちや興味に沿って話を進めている
・言葉だけでなく態度や表情などに注意しながら聞いている
・相手の感情や気持ちに気づいている
・感情的にならずに好意的な態度、言葉で話している
・うなずいたり、あいづちをうったりしている
・先入観や固定観念をもたずに相手の話を聞いている
・相手が一通り話し終えるまで、口をはさまずに聞いている
・相手の成功を素直な気持ちで喜べる

チェックが10個以上……誰からも好かれる聴き上手
6~9個……もう少しがんばりましょう
5個以下……コーチング研修を受け直しましょう
(麻野進さん著書『50歳からやっておきたい51のこと』を参考に編集部で作成)

週刊朝日 2016年3月25日号より抜粋